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稲葉勉法律事務所
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弁護士 稲 葉   勉
弁護士 稲 葉 幸 嗣
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家事事件

 

家事事件とは

家事事件とは
 
家事事件とは,家庭内や親族間の身分や相続についての事件のことを言います。
相続関係事件と親族関係事件に分かれます。
 

親族事件

親族事件
 
離婚事件
 日本では、夫婦が署名押印し,証人2人の署名押印がある離婚届を市区町村役場に提出すれば離婚できます。
  
 しかし、相手が離婚に応じない場合や離婚の条件(親権者,養育費,慰謝料,財産分与等)が折り合わず,一方が離婚届に押印しないことがあります。
 
 そのような場合には、当事務所では,弁護士が間に入って交渉することもありますが,親権に争いがある場合や,金銭を支払って欲しいと考えている場合には,基本的には家庭裁判所で夫婦関係調整調停(通称離婚調停)を申し立てることをお勧めしております。
 
 離婚調停を申し立てる場合には,相手方の住所地の家庭裁判所に申し立てることになります。遠方の場合には,電話会議やテレビ会議の方法による調停も認められるようになりました。
 
 調停では,調停委員(男女1名ずつの場合が多いです)が待つ調停室に交互に入室して話をし,折り合いをつけられるように進めていくことになります。
 
 調停の結果である調停調書がある場合には,相手方の押印がなくても離婚届が受理されることになります。
 
 調停でも話し合いがまとまらない場合には、離婚訴訟をすることになります。
 
 当事務所は,離婚事件(男女)における親権,慰謝料,財産分与,年金分割にも精通しております。話し合いでの解決が難しいなと思った場合には,ご依頼をしていただくことを前提とはせず,まずはご相談下さい。
 
養育費増額(減額)請求
 離婚後、非監護親(子どもの世話をしていない親)にある程度の収入がある場合,監護親(子どもの世話をしている親)に対して養育に必要な費用を支払う必要があります。これを養育費といいます。
 
 養育費は、離婚の際に定めることが多いのですが,離婚後に養育費を求める場合,養育費を一旦定めたものの,再婚,再婚相手との間の子の誕生,転職,離職,昇給等によって,養育費の額の変更を求める必要が生じる場合があります。
 
 その場合には,養育費増額(減額)請求調停を家庭裁判所に申し立てることができます。
 
 なお,調停での基準となる算定表は,令和1年12月から新しいものに変更されているので,こちらをご覧ください。
 
 ちなみに,算定表が変わったこと自体は養育費の増減理由とはならないとされていますので,養育費の増額(減額)請求の際には,双方の収入状態の変化や,被扶養者の状況などを併せて主張する必要があります。
 
 調停で話し合いがまとまらない場合には,家庭裁判所で審判と言って養育費の金額を決めてもらうことができます。
 
子どもの引渡し
 夫婦が別居する際,夫婦のどちらかが子を監護することになりますが,双方とも監護を希望する場合には,子の奪い合いが起こる場合があります。
 
 通常は離婚の協議や審判の中で親権者の指定という形で問題になることが多いのですが,引渡しを急ぐ場合には,離婚とは別に家庭裁判所に子の引渡しの審判を申立て,保全処分としての子の引渡しの仮処分を申し立てることがあります。
 
 裁判所の判断の基準は父母側の事情については①監護能力(健康状態等),②精神的・経済的家庭環境,③居住環境,④教育環境,⑤子に対する愛情の度合い,⑥従来の監護状況,⑦親族の援助,子の事情としては①環境(変化)への適応性,②発達状況,③兄弟との関係,④子の意向などがあり,さらに,現状を尊重すべしという原則や,母性優先の原則,兄弟姉妹の不分離の原則などがありますので,それらを含めて検討することになります。
 
 母親が安定して監護・養育している場合には,子の引渡しが認められることが難しい場合が多いです。逆に母親の養育が虐待といえるような場合には認められる可能性が高まります。
 
親権者の変更
 離婚の際,子の親権者を父または母に定めた後,子の利益のために必要と認められるときは,子の親権者を変更することができます。しかし子の親権者の変更は,父母の協議だけではできません。家庭裁判所に調停を申し立て,調停や審判によってのみ変更することができます。
 
 例えば,離婚の際,子の親権者を父に定めたが,父親が子を充分に監護養育していない場合など,母親が家庭裁判所に申し立てることができます。父親・母親が逆のケースも同じです。
 
 ただし,父母の意見が相違している場合には,対立が深刻になることが多いです。裁判所も子らの環境を変えることになる親権者変更は子の福祉を考えて慎重に判断をすることになりますので,親権者の変更が認められるかどうかはケースバイケースと言わざるをえません。
 

相続関係事件

相続関係事件
 
遺産調査、相続人調査
親族が亡くなったが、親戚付き合いもなく、相続人と遺産の調査すらままならないということがあるかと思います。
 
その場合に、遺産分割協議等の前提として、戸籍を追うことによる相続人調査、
不動産や預貯金、負債などの遺産調査を承ることができます。
 
費用は11万円(税込)となっておりますので、お問い合わせください。
 
遺産分割
 被相続人の死後に,被相続人の遺産を分けることを遺産分割といいます。
 
 遺言がある場合、原則として遺言どおりに分けることになりますが、相続人の話し合いがまとまれば、遺言とは違う分け方をすることもできます。
 
 遺言がない場合、相続人全員の話し合いで分け方を決めることになりますが,話し合いができない、まとまらないときの相続分は法律で決められています(法定相続分といいます)。
 
 遺産分割の手続きは,協議(任意の話し合い)→ 調停(家庭裁判所) → 審判 となっています。
 
 遺産分割では,寄与分,特別受益(生前贈与等)についての難しい問題が含まれる場合があり,その場合は早めに専門家である我々にご相談いただくことをおすすめします。
 
相続放棄
 被相続人の債務がプラスの遺産を上回っているとか,その恐れがあるという場合には,相続放棄(民法915条1項)を検討することになります。相続放棄は,「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」にすべきとされていますが,その期間の延長の請求もできます(通常は3箇月の延長)。
 
 3箇月が経過した後でも,突然に知らなかった債権者から督促状が送られてきた場合などは,督促状の配達から3箇月以内の申立てであれば,例外的に相続放棄の申述が認められることがありますので,あきらめずにご相談下さい。
 
遺言書の作成
 遺言を生前に作成しておくことで,無用な争いを避けることができます。
 特に,子がいない場合や,子が成人している場合には争いになることが多いです。
 
 財産が特に多くなくても,自宅などの分けにくい財産がある場合や,山林や農地などの継ぎにくい財産がある場合に有効です。
 
 また,遺言によれば,内縁の妻や親族関係のない者に財産を渡すことができます。
 生前に贈与してしまうと,贈与税の対象となってしまう場合でも,遺言による場合には相続税の基礎控除額が大きいので,非課税とされる場合が多く,税金上も有利です。
 
 遺言書で多く利用されているのは,自筆証書遺言と公正証書遺言です。
 
  内容 メリット デメリット
自筆
証書
遺言
遺言の本文,氏名,日付を
自筆で書き押印したもの
(ワープロ等で書いたものは無効)
・作成が簡単
・費用が掛からない
・令和2年7月から法務局で
の保管制度ができました。
・死亡後に検認手続きが必要
・有効性の争いになりやすい
・滅失,改ざん,隠匿などのおそれがある
→法務局での保管制度の利用により
 回避できるようになりました。
公正
証書
遺言
遺言の内容を公証人に口述
し,公証人に作成してもらうもの。
証人2人の立会いが必要
・公証役場で保管するので
滅失,改ざん,隠匿のおそれがない
・無効になりにくい
・死亡後の検認手続が不要
・費用がかかる。
・公証役場に原則として行く必要がある。
 
 
 上記のように,自筆証書遺言は,自筆で書く必要がある他,自筆であるかを巡って争いになったり,要件を満たさないので無効になったり,火事や盗難にあったり,遺言を発見してもらえなかったり,一部の相続人が不都合だと処分してしまったりということもあります。
  当事務所では公正証書遺言(民法969条),又は自筆証書遺言の法務局での保管制度の利用をおすすめしています。
 
 内容としては,相続人の遺留分に配慮し,死後に争いになりにくい遺言を作成することをおすすめしています。
 
遺言無効確認請求事件
 遺言書(自筆証書遺言や公正証書遺言)がある場合でも,被相続人の本当の意思により作成されたものであるのか疑義がある場合があります。
 
 遺言書がある場合でも相続人全員の了解があれば,遺言書とは異なる遺産分割協議をすることができますが,相続人の間で争いがある場合には不可能です。
 
 そこで,遺言が無効なものであると思われる場合,無効確認を裁判所に求めることができます。
 
 自筆証書遺言の場合は,筆跡鑑定により自筆でないことの立証が可能であることがありますが,公正証書遺言の場合には,資格を持った公証人が,印鑑証明によって本人確認をし,内容についても直接内容を確認していますので,特に変わった事情がない限りは無効が確認されることは多くはありません。
 
 
 
遺留分侵害額請求(減殺(げんさい)請求)
 遺留分というのは,遺言では遺産を全部取得できない,あるいは一部しか取得できないとされた相続人であっても,相続財産についての一定割合について取得できるとされている部分のことを言います。
 
 例えば,父と母,子2人の4人家族で,父が子の一人に「遺産を全部相続させる」という遺言を書いていたとします。それではお母さんが生活に困ってしまう場合も考えられます。
 
 そのような場合には,原則として法定相続分の半分,母は2分の1の半分で4分の1,もう一人の子は4分の1の半分で8分の1については,自分に渡すように求めることができます(民法1028条)。
 
 以前は,そのような請求を遺留分減殺(げんさい)請求といって,現物の割合的返還を求める制度でした。
 民法の改正により,令和1年7月1日以降に発生した相続については,侵害額に相当する金銭を請求することができることになりました(改正民法1046条)。
 
 もっとも,遺留分の侵害を知ってから1年で時効により消滅してしまいますので,注意が必要です(民法1042条)。
 
遺言書の検認
 遺言書(公正証書による遺言を除く。)の保管者又はこれを発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その「検認」を請求しなければなりません(民法1004条第1項)。
 
 また,封印のある遺言書は,家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています(同条3項)。
 
 検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
 
 当事務所では,遺言書の検認手続の代理も承ります。ご相談下さい。
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