遺産分割は,誰が(相続人の範囲),どのような割合で(相続分),何を(遺産の範囲),どのように分けるか(分割方法)という手順により進められます。
⑴ 相続人の範囲を確定する←①相続人たる地位があるかどうか,他に相続人はいないか
⑵ 相続分を確定する(例えば,妻と子が相続人の場合に妻が2分の1など)
⑶ 遺産の範囲を確定する←②遺言書の効力 ③遺産分割協議書の効力 ④遺産の帰属
⑷ 遺産評価額を算出する(相続人間で合意する)
⑸ 特別受益・寄与分を確定する
⑹ 特別受益・寄与分を踏まえて,具体的な相続分率を算出する
⑺ 具体的相続分率を遺産分割時における遺産評価額に乗じて遺産分割取得分額を算出する
⑻ 遺産分割方法を決定する
調停においてもこれらの事項について話し合いでの解決を目指すわけですが,①相続人たる地位の有無の問題(認知や推定相続人の廃除など),②遺言書の効力又は解釈,③遺産分割協議書の効力,④遺産の帰属について争いとなった場合,調停不成立で審判に移行したとしても,審判において裁判官がこれを決めることはできません(決めたとしても拘束力がないので,別途訴訟となった場合に紛争が蒸し返されてしまうおそれがあります。)。そのため,一度民事訴訟で①から④について確定させてから,再度調停を申し立てることになります。
争いとなっている事項が多岐にわたると,調停ないし審判で一回的に解決できるわけではなく,別訴での解決が必要になり,紛争が長期化する可能性があります。