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判例等

 

家事事件判例集

家事事件判例集
 
包括遺贈とは何ですか(東京地裁平成10年6月26日判決)。

包括遺贈とは,遺言者が,包括の名義で,その財産の全部又は一部を処分すること(民法964条)であり,包括受遺者は,相続人と同-の権利義務を有することになる(民法990条)。

 

通常は相続分(民法899条)に対応する相続財産の割合的一部を指定して,その範囲に属する積極財産(財産)のみならず消極財産(負債)を包括して遺贈する形式が求められることとなる。

 

ところで,遺言者がその財産の一部を特定遺贈又は分割方法の指定により特定人に取得させることとした上,その部分を除く相続財産につき,積極財産のみならず消極財産を包括して,遺贈の対象とすることも可能というべきであり,この場合には,「財産の一部」についての遺贈であるが,当該財産の範囲で,受遺者は被相続人の権利,義務を包括的に承継することになるから,「特定財産を除く相続財産(全部)」という形で範囲を示された財産の遺贈であっても,それが積極,消極財産を包括して承継させる趣旨のものであるときは,相続分に対応すべき割合が明示されていないとしても,包括遺贈に該当するものと解するのが相当であるとした裁判例がある(東京地裁平成10年6月26日判決。事件番号平成8年(行ウ)第109号事件)。

 
非嫡出子の相続分規定違憲判決(最高裁平成25年9月4日判決)
 改正前民法900条4号ただし書前段には,非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めており,平成7年の最高裁判決では,これを合憲としていた。
 
 本判決により,平成13年7月当時において,憲法14条1項に違反していたとした。
 
 理由としては,我が国における家族形態の変化や批准した条約の内容及びその委員会からの指摘等を踏まえて,「子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許され」ないとして違憲・無効と判断した。
 
 この判決を受けて,平成25年12月5日に民法の一部を改正する法律が成立し,同月11日に施行されました。
 この結果,平成25年9月5日以降の相続については新民法を適用し,平成13年7月1日以降平成25年9月4日までの相続については,解決済みのものについてはそのまま,今後審判等がなされる場合には新法と同様の処理となることになりました。
 
法務省のページに記載がありますので,ご覧ください。 
 
 
 
遺産たる預貯金は,遺産分割の対象となるとした判例(最大決平成28年12月19日)
 《判示内容》

 共同相続された預貯金債権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく,遺産分割の対象となると判示した。

《理由》

 従前は,一般の可分債権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることから,預金債権もこれに従うとされ(最高裁16年4月20日第三小法廷判決ほか),死亡と同時に法定相続分により分割されるから,遺産分割の対象とはならないとされてきた。

 しかし,

 預貯金は,一般に,現金的な扱いがされるし,不動産など分割困難な遺産の分割の際,調整を果たすため遺産に組入れるというニーズがある。

 普通預金は,常に変動を続けるため,確定額の債権として当然分割されることはない。

 定期預金は,利子計算の複雑化による事務の圧迫を防ぐため,分割払戻を制限していることから,相続による当然分割を認めるべきでない。

 したがって,預貯金債権は,いずれも,当然分割されず,遺産分割の対象となるとされました(判例変更)。

 これについては,解決済みの事案については遡って適用されることはなく,未解決の事案にのみ適用されると判断しています。

 

 
遺言成立日と異なる日付の記載された自筆証書遺言の効力(最高裁令和3年1月18日判決)
・自筆証書遺言は、全文、日付、署名を自筆で行い、押印をする必要があります。
・本判例の事案では、入院中に全文、日付、署名を行い、その約1か月後の退院後に押印をしたというものでした。
・高裁では、遺言が無効と判断しました。
・最高裁は、全文、日付、氏名の自署と押印を要するとした趣旨を「遺言者の真意を確保すること等にあるところ、必要以上に遺言の方式を厳格に解するときは、かえって遺言者の真意の実現を阻害するおそれがある。」として、「直ちに本件遺言が無効となるものではない」として原判決を破棄しました。
・類似判例としては、9月31日としたものは、9月30日の誤記として有効
・1月吉日は日付の特定がないとして無効
・拇印は押印として有効
・花押は無効
などがあります。
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