取扱業務

交通事故

当事務所は交通事故(被害者側、加害者側)にも精通しております。
特に以下の問題がある交通事故に遭われてしまった方はお早めにご相談下さい。

  • 事故態様(過失割合)に争いがある場合
    →交渉で解決できることもありますが、
    争いが深い場合、訴訟が必要になる場合もあります。
    →稲葉幸嗣弁護士は、日本自動車研究所での勤務経験もあり、事故鑑定が必要な案件についても担当した経験がございます。
  • 相手方が任意保険に未加入の場合
    相手方に資力がない場合には回収が困難な場合があります。
  • 損害額(特に休業損害、慰謝料、逸失利益)に争いがある場合
    →交通事故の算定基準には様々な基準があります。保険会社が提示してくる損害額は保険の基準の場合が多いので、裁判で認められる額よりも少ないことが多いです。
  • 後遺障害の有無、後遺障害等級の認定、異議申立て
    通院後にも症状が残っている場合でも、後遺障害等級に認定されない場合もあります。
    後遺障害等級が認められたとしても軽すぎるのではないかという疑問を持たれる方もいると思います。その場合の異議申立ての代理も承ります。

※弁護士費用特約付きの自動車保険に加入している場合(ご家族の保険でも適用になる場合もあります)、法律相談料・弁護士費用について、保険によりお支払いいただくことができます。あらかじめ保険会社又は保険代理店にお問い合わせ下さい。

債務整理

個人の方の債務整理

個人の方の債務整理には3つの方法があります。

どの手段が適切かは借入れの金額、借入れ先、生活収支状況(収入、家族の構成)等により異なります。

※完済した消費者金融等に対する過払金の返還請求の委任も承ります。
※特定調停という債務整理のための調停は、同様の結果が弁護士による任意整理で得られるため、利用することは少ないです。

①任意整理

債権者との話合いにより分割払いや一括払いをする方法です。
分割払いの場合、将来利息をカットできる可能性があります。
一括払いの場合、利息や遅延損害金をカットできる可能性があります。
古くから(平成18年以前)の借入れの場合、利息制限法引き直し計算により、債務減額、過払いの可能性もあります。

②個人再生

債務額が計100万円~500万円までは計100万円を、債務額計500万円以上5000万円まではその2割を原則3年(36回の分割払い。特別な事情があれば最長5年、60回払い)で分割払いすることで、残りを免除してもらう手続きです(財産が多い場合には異なる基準で行います)。
破産における、浪費等の免責不許可事由がある場合も利用できます。
自宅を保有したまま、住宅ローンは支払いながら、残りの債務は一部免除してもらうことも可能です。
資格制限がありませんので、警備員、保険外交員などの職業の方も利用できます。

③破産

債務の支払いを全額免除してもらう手続きです。
所持財産が生活必需品のみの場合は手元に99万円までの財産は確保できます。
一つの財産で20万円以上の財産があったり、総額で99万円以上の財産がある場合には、破産管財人を選任し、財産が多ければ破産管財人が換価して債権者に債権額に応じて案分して配当することがあります。
免責不許可事由(浪費による債務が多い場合や、財産隠し等)がある場合には免責が許可されないことがあります。
資格制限があり、警備員、保険外交員、銀行や農協の役員の方などは破産手続きが終了し、免責されるまで就業が制限されます(通常の会社員等であれば就業制限はありません)。
破産・免責手続によっても税金や故意の不法行為債務などは免責されません。

法人の債務整理

法人の債務整理には、①任意整理と②法的整理があります。

  • ①任意整理としては、金融債務のリスケジュール、カット、営業譲渡、会社分割等
  • ②法的整理としては、会社の存続を前提として民事再生、会社更生、会社の清算を前提として自己破産、特別清算があります。

詳細はご相談ください。

債務整理Q&A

Q1. 破産申立てをすると将来クレジットカードを作れなくなりますか?

自己破産の申立てをすると、信用情報機関にその旨の記載がなされ、数年間(7年間という話もありますがはっきりしません)その情報が記載された後に、記載が消去され、それ以降は、信用情報を元にクレジットカード等の審査が通らなくなるということはなくなります。
もっとも、自己破産をしなくても、支払いが何回か遅れると、その旨が信用情報機関に登録されるため、遅滞を解消してしばらくたたないと、借り入れやクレジットカードの新規作成は難しいと思います。
貸金業者等は信用情報機関以外に業者独自の顧客リストを有していることが多く、破産手続きの債権者であったところは、今後借入れやクレジットカードの作成はできないと考えた方がよいでしょう。

Q2. 債務整理をすると勤務先にばれてしまいますか?

債務整理のうち、任意整理は、債権者との間で話し合いをするものですので、債務整理の情報がどこかに掲載されるということはありません。
破産や再生事件の場合、申立人の住所や氏名、手続名は官報に掲載されることになりますので、勤務先が官報を見ていれば分かってしまうことがあります。
もっとも、金融機関などの官報が業務に直結している会社を除き、官報を全部チェックしている会社は多くありませんので、官報に載ったからといって勤務先には知られないことが多いです。

Q3. 破産しても支払いを免れないものもあるのですか?

破産法は、非免責債権(免責手続によっても支払いを免れない債権)を規定しています(253条)。

  • ①租税等の請求権
  • ②破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権
  • ③破産者の故意・重過失による人の生命・身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
  • ④婚姻費用、養育費等
  • ⑤雇用関係に基づく使用人の請求権等
  • ⑥破産者が知りながら債権者名簿に記載しなかった請求権
  • ⑦罰金等の請求権

これらについては、免責決定が確定しても支払いを免れない債権とされています。
ただし、破産手続中では非免責債権であるかどうかの認定はしないので、免責確定後に任意で支払うか、非免責債権であることに争いがある場合には別途の訴訟において判断されることになります。

その他民事事件

貸金、売掛金等

債権(貸金、売掛金等)の回収の相談に応じます。
債権の回収を考えるとき、まず問題となるのは、債権の原因となる事実(貸した、売った等)の証拠がどのようなものがあるかです。
借用証や契約書があって、相手方の実印での押印があるような場合には、特に問題となることが少ないですが、口約束の場合には、お金や物が動いた記録がないか探します。
どうしても物証がない場合には、証言によらざるを得ないこともあります。
また、判決をとったとしても相手に資力がない場合には、現実に回収が困難な場合があります。相手がどのような財産を持っているか、どのような仕事をしているかについてはできる限りの情報をいただけると進行しやすくなります。
さらに、裁判手続きの前提としての財産の仮差押え、 判決等を取ったあとの給料差押え、預金差押え、動産差押え等も承ります。

不動産

賃貸借契約の解除、明渡し

土地の明渡し、建物の明渡し等(貸主側、借主側)の事件についてもご相談ください。
土地や建物を賃貸して、賃料の滞納があっても、貸主が勝手に賃貸物件に入り、勝手に荷物を捨ててしまうことは禁止されています。
そのようなことをすると、あとで借主から損害賠償を求められた場合には、敗訴することになりかねません。
ですので、費用と時間はかかりますが、弁護士に依頼して強制退去の手続きをとることをおすすめします。

賃料の増額、減額

土地価格の変動により、従来定めた賃料が不相当になる場合があります。
賃料の増額、減額請求についての相談にも応じます。

土地境界

土地の境界に争いがある場合の交渉・筆界特定、境界確認等についても、取扱っております。

建築瑕疵

買った土地・建物、建てた建物に不具合がある、という時に、
売主や請負人に補修や損害賠償を求めることができる場合があります。
このような建築瑕疵の問題についてもご相談下さい。

労働事件

労働事件(使用者側、労働者側)のご相談に応じます。
解雇、雇用条件の変更、時間外賃金の問題など、ご相談ください。
解決の方法も交渉の他にも裁判所を利用した仮処分、労働審判、訴訟等、
目的に応じて手段を使い分けています。

民事事件Q&A

Q. 裁判所支部と本庁とどちらの事件になるのですか?

地方裁判所や家庭裁判所は、本庁以外に支部が置かれています。
栃木県では、栃木、足利、真岡、大田原に支部が存在します。
支部の対象地域の事件は、基本的に本庁ではなくその支部が担当するので、訴訟の提起等もその支部に対して行うことになります。
例えば、被告の住所地、債権の履行地、不法行為地などが支部の対象地域の場合などです。
支部の担当事件について、本庁での審理を求めることはできるのでしょうか。
結論としては、訴訟を提起したりできるけれども、対象地域の事件を担当する支部に回付されないよう上申書を添付してその事情を疎明する必要があります。
支部は、「外部に対しては本庁と一体をなすものであって、支部の権限、管轄区域は、裁判所内部の事務分配の基準にすぎない」(最高裁昭和44年3月25日判決)とされています。
実際に本庁で審理するかあるいは支部や出張所で審理するかの判断はもっぱら裁判所の内部で決定されます。
管轄違いの訴訟提起や申し立てがあった場合に、その裁判所が管轄のある裁判所に事件を配転することを「移送」といい、本庁・支部間の事件配転を「回付」といいます。
前者は訴訟法上の不服申立てが認められるのに対し、後者は裁判所内部の事務分配にすぎないので不服申立てができないという違いがあります。
双方に異議がない場合には、上申書を添付することで本庁での審理がなされることがありますが、主に被告側で異議を述べた場合には、支部に回付されるのが通常です。

離婚・男女問題

離婚

日本では、夫婦と証人2人の署名がある離婚届を市区町村役場に提出すれば離婚できます。
しかし、相手が離婚に応じない場合や離婚の条件(親権者、養育費、慰謝料、財産分与、年金分割等)が折り合わず、一方が離婚届に押印しないことがあります。
そのような場合には、当事務所では、弁護士が間に入って交渉することもありますが、親権に争いがある場合や、金銭を支払って欲しいと考えている場合には、基本的には家庭裁判所で夫婦関係調整調停(通称離婚調停)を申し立てることをお勧めしております。
なお、離婚には双方同意していても、条件面が折り合わない場合にも、離婚届を先に出すのではなく、離婚調停(訴訟)をお勧めしています。離婚調停(訴訟)は、親権者、養育費、慰謝料、財産分与、年金分割の按分割合等のいずれの内容も一つの手続きでできますが、離婚をしてしまうと、それぞれが別の申立等が必要になってしまうのです。
離婚調停を申し立てる場合には、相手方の住所地の家庭裁判所に申し立てることになります。事務所から電話会議やWeb会議の方法による調停も認められるようになりましたので、移動の負担も少なくなりました。
調停では、調停委員(男女1名ずつの場合が多いです)が待つ調停室に交互に入室して話をし、折り合いがつくか協議を進めていくことになります。
調停の結果、協議が調い調停調書が作成された場合には、相手方の署名がなくても離婚届受理されることになります。
調停でも話し合いがまとまらない場合には、離婚訴訟をすることになります。
当事務所は、離婚事件(男女)における親権、慰謝料、財産分与、年金分割等にも精通しております。夫婦同士の話し合いでの解決が難しいなと思った場合には、まずはご相談下さい。

婚姻費用請求

夫婦等が別居等をした際、収入が少なかったり、子どもを監護している夫又は妻から、収入が多かったり、子どもを監護していない夫又は妻に対して生活費の支払いを求めることを婚姻費用の請求といいます。
婚姻費用の支払やその額について話合いがまとまらない場合、家庭裁判所に婚姻費用調停を申し立てることができます。
婚姻費用については、請求する夫又は妻の生活費分も考慮されるので、離婚後の養育費よりは多く算定されることが通常です。
婚姻費用の支払の始期は、調停申立時とされることも多いですので、未払となったら速やかな調停申立てをお勧め致します。

養育費増額(減額)請求

離婚後、非監護親(子どもの世話をしていない親)にある程度の収入がある場合、監護親(子どもの世話をしている親)に対して養育に必要な費用を支払う必要があります。これを養育費といいます。
養育費は、離婚の際に定めることが多いのですが、離婚後に養育費を求める場合、養育費を一旦定めたものの、再婚、再婚相手との間の子の誕生、転職、離職、昇給等によって、養育費の額の変更を求める必要が生じる場合があります。
その場合には、養育費増額(減額)請求調停を家庭裁判所に申し立てることができます。
なお、書面等により合意した養育費を支払わないという場合には、家庭裁判所の申立てではなく地方裁判所の民事訴訟で請求することも過去の裁判例では認められています。
なお、調停での基準となる算定表は、令和1年12月から新しいものに変更されているので、こちらをご覧ください。
http://www.courts.go.jp/about/siryo/H30shihou_houkoku/index.html
ちなみに、算定表が変わったこと自体は養育費の増減理由とはならないとされていますので、養育費の増額(減額)請求の際には、双方の収入状態の変化や、被扶養者の状況などを併せて主張する必要があります。
調停で話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所で審判として養育費の金額を決めてもらうことができます。

子どもの引渡し

夫婦が別居する際、夫婦のどちらかが子を監護することになりますが、双方とも監護を希望する場合には、子の奪い合いが起こる場合があります。
通常は離婚の協議や審判の中で親権者の指定という形で問題になることが多いのですが、引渡しを急ぐ場合には、離婚とは別に家庭裁判所に子の引渡しの審判を申立て、保全処分としての子の引渡しの仮処分を申し立てることがあります。
裁判所の判断の基準は父母側の事情については①監護能力(健康状態等)、②精神的・経済的家庭環境、③居住環境、④教育環境、⑤子に対する愛情の度合い、⑥従来の監護状況、⑦親族の援助、子の事情としては①環境(変化)への適応性、②発達状況、③兄弟との関係、④子の意向などがあり、さらに、現状を尊重した方がいいのではないか、特に乳児についての母性優先した方がいいのではないか、兄弟姉妹は分離しない方がいいのではないかなどを考慮し、それらを含めて検討することになります。
母親が安定して監護・養育している場合には、子の引渡しが認められることが難しい場合が多いです。逆に母親の養育が虐待といえたり、著しく不適切な場合には認められる可能性が高まります。

親権者の変更

離婚の際、子の親権者を父または母に定めた後、子の利益のために必要と認められるときは、子の親権者を変更することができます。しかし子の親権者の変更は、父母の協議だけではできません。家庭裁判所に調停を申し立て、調停や審判によってのみ変更することができます。
例えば、離婚の際、子の親権者を父に定めたが、父親が子を充分に監護養育していない場合など、母親が家庭裁判所に申し立てることができます。父親・母親が逆のケースも同じです。
ただし、父母の意見が相違している場合には、対立が深刻になることが多いです。裁判所も子らの環境を変えることになる親権者変更は子の福祉を考えて慎重に判断をすることになりますので、親権者の変更が認められるかどうかはケースバイケースと言わざるをえません。

認知

婚外子について、母親については子の出生により親子関係が成立しますが、父親については認知の届出により親子関係が成立します(民法779条)。
父親が認知届をしてくれない場合、子や子が未成年のうちは母親は、家庭裁判所に対して認知の調停申立をすることができます。
調停においても協議が調わない場合には、認知の訴えをすることなります。
訴訟においてはDNA鑑定が重要な証拠となりますので、裁判所の主導によりDNA鑑定が試みられることになりますが、DNA鑑定も強制的にはできないため、鑑定なしで判決がなされることもあります。その場合は血液型や双方の主張する事情を元に総合的に判断されることになります。

不貞行為による慰謝料請求

夫婦(内縁を含む)には、貞操義務があり、不貞行為をした場合で、夫婦が不貞について同意がない場合には、不貞行為をされた方がした方に対して不法行為に基づく慰謝料請求をすることができます。
慰謝料の額は、不貞行為の期間、内容、子の有無及びその年齢、それにより婚姻関係が悪化したり破綻した程度などを総合的に判断されます。
慰謝料額の相場は離婚までは至らないケースでは100万円以下、離婚に至ったとしても150万円~300万円が多いです。
慰謝料請求する側、される側いずれも多数のケースを取り扱っておりますし、ご事情はそれぞれ異なりますので、ご相談ください。

離婚・男女問題Q&A

Q1. 夫と別居した後の生活費は夫に払ってもらえますか?【婚姻費用】

民法760条は、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」とされており、別居をしても、夫婦は婚姻が継続している限り(つまり離婚するまで)婚姻費用(生活費や子どもの学費等)を分担することになっています。
このような場合、夫との話し合いで決めるのではなく、家庭裁判所に婚姻費用分担請求の調停を申し立てることをお勧めしています。夫からの支払いがなくなってしまうリスクがあり、そのような場合には調停申立が結局必要になってしまうためです。
調停では、「養育費・婚姻費用算定表」を参考資料として、夫婦それぞれの収入や子どもの数などに応じて夫婦が分担すべき婚姻費用の金額を話し合いにより決めていくことになります。
「養育費・婚姻費用算定表】は令和1年12月23日から新しい算定表の運用が始まることになっています。
調停で話がまとまらなかったときは、審判に移行され、最終的裁判所が婚姻費用の額を定めます。
調停成立または審判が下ったにもかかわらず、支払わなかった場合は、裁判所から履行勧告や、強制執行手続を取り、夫に給料が支払われている場合には給料を差し押さえ、夫の勤務先から直接支払ってもらうことが可能です。

Q2. 別居したDV夫と離婚したいのですが、新しい住所を知られずに進められますか?【離婚調停】

離婚調停申立書にあなたの居所を記載せずに調停を申し立てる方法もあります。
DV夫のケースでは婚姻生活をしていた元の住所を記載したり、申立代理人弁護士の住所を記載することも許されることがありますので、まずはご相談ください。
また、調停期日でも、裁判所であなたが夫と会うことがないよう配慮してもらえますので、ご安心ください。

Q3. 離婚慰謝料の相場はどのくらいですか?【慰謝料】

まず、性格の不一致自体はお互い様ということで慰謝料の発生理由にはならず、有責的な行為(不貞・暴力など)によって離婚を余儀なくさせられることが必要です。
有責性が高いほど高く、精神的肉体的苦痛が激しいほど高く、婚姻期間が長い方が高く、未成年子がいる方が高く、有責配偶者に資力があり地位が高いほど高いという傾向はあります。
金額では多くて300万円までが多く、慰謝料だけで500万円を超えることはまれです(東京地裁の統計では、100万円以下が28.2%、100万円~200万円が26.5%、200~300万円が24.8%「東京家庭裁判所における人事訴訟の審理の実情」)。

Q4. 離婚の際、父親も親権者となることができますか?【親権者】

父親でも子の親権者となることが可能です。
裁判所が、子の親権を父親か母親かのどちらかを決めるにあたっては、様々な事情を考慮して、どちらの親を親権者とすることが子にとって利益になるのか、という観点から判断をします。
具体的には、父母の監護に対する意欲及び愛情の程度、監護に対する現在及び将来の能力、これまで実際に子を監護してきたのがどちらであるか、子の意思、子の年齢や性別、発育状況、生活環境、環境の変化の度合いなどの観点から判断をします。
裁判所は、特別な事情がなければ現状を維持する傾向がありますから、別居時に子と同居している方が有利となりますし、乳幼児についてはいまだに母親優先の傾向はあります。

Q5. 離婚後も財産分与、慰謝料、年金分割の請求ができますか?【離婚後の請求】

財産分与と年金分割については離婚成立から2年以内と期限があります(民法768条2項。厚生年金保険法施行規則78 条の3)。
慰謝料についても時効(原則相手方の不法行為を知ったときから3年以内)がありますが、夫婦間においては不法行為を知ってから3年以上が経過していても、離婚後6か月以内でしたら請求可能です(民法159条)。
なお、離婚の際に書面を取り交わし、その中に清算条項、例えば「本件に関し上記以外には名義のいかんを問わず何らの金銭その他の請求を相互にしない」といった一文が織り込まれていた場合は請求が難しくなりますので、そのような場合もまずはご相談ください。

相続

遺産調査、相続人調査、法定相続情報取得

親族が亡くなったが、親戚付き合いもなく、相続人と遺産の調査すらままならないということがあるかと思います。 その場合に、遺産分割協議等の前提として、弁護士の職務上請求により戸籍を取得しての相続人調査、
相続人の代理人として不動産登記の取得や金融機関への問い合わせによる預貯金額調査、負債などの遺産調査を承ることができます。
相続人調査の結果を法務局に申請することにより、法定相続情報を取得することもできます。
法定相続情報を取得することにより、各金融機関、裁判所等に対して、戸籍の束を毎回提出する必要がなくなります。

遺産分割

被相続人の死後に、被相続人の遺産を分けることを遺産分割といいます。
遺言がある場合、原則として遺言どおりに分けることになりますが、相続人の話合いがまとまれば、遺言があっても遺言とは異なる分け方をすることもできます。
遺言がない場合、相続人全員の話合いで分け方を決めることになりますが、話合いができない、まとまらないときの相続分は法律で決められています(法定相続分といいます)。
遺産分割の手続きは、協議(任意の話し合い)→ 調停(家庭裁判所) → 審判 となっています。
遺産分割では、寄与分、特別寄与分、特別受益(生前贈与等)についての難しい問題が含まれる場合があり、その場合は早めに専門家である我々にご相談いただくことをおすすめします。

相続放棄・限定承認

被相続人の債務がプラスの遺産を上回っているとか、その恐れがあるという場合には、相続放棄(民法915条1項)を検討することになります。相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内」にすべきとされていますが、その期間の延長の請求もできます(通常は3箇月の延長)。
3箇月が経過した後でも、被相続人の死を知らなかった場合や、被相続人の死は知っていたが、突然に把握していなかった債権者から督促状が送られてきた場合などは、督促状の配達から3箇月以内の申立てであれば、例外的に相続放棄の申述が認められることがありますので、あきらめずにご相談下さい。
被相続人の負債を相続するが、プラスの遺産の範囲内に留めるという限定承認というものもあります。

遺言書の作成

遺言を生前に作成しておくことで、無用な争いを避けることができます。
特に、子がいない場合や、子が成人している場合には争いになることが多いです。
財産が特に多くなくても、自宅などの分けにくい財産がある場合や、山林や農地などの継ぎにくい財産がある場合に有効です。
また、遺言によれば、内縁の妻や親族関係のない者に財産を渡すことができます。
生前に贈与してしまうと、贈与税の対象となってしまう場合でも、遺言による場合には相続税の基礎控除額が大きいので、非課税とされる場合が多く、税金上も有利です。
遺言書で多く利用されているのは、自筆証書遺言と公正証書遺言です。

内容 メリット デメリット
自筆証書遺言 遺言の本文、氏名、日付を自筆で書き押印したもの
(ワープロ等で書いたものは無効)
  • 作成が簡単
  • 費用が掛からない
  • 令和2年7月から法務局で
の保管制度ができました。
  • 死亡後に検認手続きが必要
  • 有効性の争いになりやすい
  • 滅失、改ざん、隠匿などのおそれがある
→法務局での保管制度の利用により
 回避できるようになりました。
公正証書遺言 遺言の内容を公証人に口述
し、公証人に作成してもらうもの。
証人2人の立会いが必要
  • 公証役場で保管するので滅失、改ざん、隠匿のおそれがない
  • 無効になりにくい
  • 死亡後の検認手続が不要
  • 費用がかかる。
  • 公証役場に原則として行く必要がある。

上記のように、自筆証書遺言は、自筆で書く必要がある他、自筆であるかを巡って争いになったり、要件を満たさないので無効になったり、火事や盗難にあったり、遺言を発見してもらえなかったり、一部の相続人が不都合だと処分してしまったりということもあります。
当事務所では公正証書遺言(民法969条)、又は自筆証書遺言の法務局での保管制度の利用をおすすめしています。
内容としては、相続人の遺留分に配慮し、死後に争いになりにくい遺言を作成することをおすすめしています。

遺言書の検認

遺言書(公正証書による遺言を除く。)の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その「検認」を請求しなければなりません(民法1004条第1項)。
また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています(同条3項)。
検認とは、相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

遺言無効

遺言書(自筆証書遺言や公正証書遺言)がある場合でも、被相続人の本当の意思により作成されたものであるのか疑いがある場合があります。
遺言書がある場合でも相続人全員の了解があれば、遺言書とは異なる遺産分割協議をすることができますが、相続人の間で争いがある場合には不可能です。
そこで、遺言が無効なものであると思われる場合、無効確認を裁判所に求めることができます。
自筆証書遺言の場合は、遺言能力がない(重い認知症や精神病など)や筆跡鑑定により無効が認められることがありますが、公正証書遺言の場合には、資格を持った公証人が、印鑑証明によって本人確認をし、内容についても直接内容を確認していますので、特に変わった事情がない限りは無効が確認されることは多くはありません。

遺留分侵害額請求(減殺(げんさい)請求)

遺留分というのは、遺言では遺産を全部取得できない、あるいは一部しか取得できないとされた相続人であっても、相続財産についての一定割合について取得できるとされている部分のことを言います。
例えば、父と母、子2人の4人家族で、父が子の一人に「遺産を全部相続させる」という遺言を書いていたとします。それではお母さんが生活に困ってしまう場合も考えられます。
そのような場合には、原則として法定相続分の半分、母は2分の1の半分で4分の1、もう一人の子は4分の1の半分で8分の1については、自分に渡すように求めることができます(民法1028条)。
以前は、そのような請求を遺留分減殺(げんさい)請求といって、現物の割合的返還を求める制度でした。
民法の改正により、令和1年7月1日以降に発生した相続については、侵害額に相当する金銭を請求することができることになりました(改正民法1046条)。
もっとも、遺留分の侵害を知ってから1年で時効により消滅してしまいますので、注意が必要です(民法1042条)。

相続Q&A

Q1. 遺産分割はどのように検討していけばよいですか?

遺産分割は、誰が(相続人の範囲)、どのような割合で(相続分)、何を(遺産の範囲)、どのように分けるか(分割方法)という手順により進められます。

  • ⑴ 相続人の範囲を確定する←①相続人たる地位があるかどうか、他に相続人はいないか
  • ⑵ 相続分を確定する(例えば、妻と子が相続人の場合に妻が2分の1など)
  • ⑶ 遺産の範囲を確定する←②遺言書の効力 ③遺産分割協議書の効力 ④遺産の帰属
  • ⑷ 遺産評価額を算出する(相続人間で合意する)
  • ⑸ 特別受益・寄与分を確定する
  • ⑹ 特別受益・寄与分を踏まえて、具体的な相続分率を算出する
  • ⑺ 具体的相続分率を遺産分割時における遺産評価額に乗じて遺産分割取得分額を算出する
  • ⑻ 遺産分割方法を決定する

調停においてもこれらの事項について話し合いでの解決を目指すわけですが、①相続人たる地位の有無の問題(認知や推定相続人の廃除など)、②遺言書の効力又は解釈、③遺産分割協議書の効力、④遺産の帰属について争いとなった場合、調停不成立で審判に移行したとしても、審判において裁判官がこれを決めることはできません(決めたとしても拘束力がないので、別途訴訟となった場合に紛争が蒸し返されてしまうおそれがあります。)。そのため、一度民事訴訟で①から④について確定させてから、再度調停を申し立てることになります。
争いとなっている事項が多岐にわたると、調停ないし審判で一回的に解決できるわけではなく、別訴での解決が必要になり、紛争が長期化する可能性があります。

Q2. 遺産に不動産があります。価格はどうやって評価するのですか?

不動産の評価には、固定資産税評価額、路線価、公示価格など、様々な評価がありますが、遺産分割について合意があればいずれの評価を用いても問題ありません。
裁判所での審判時には時価額ということになり、争いが大きく、費用が出せるのであれば不動産鑑定士に鑑定評価を依頼し、その金額を採用することになります。

Q3. 母と同居して面倒をみるという負担付で遺産分割により相続財産を取得した者が母の面倒をみない場合どうなりますか?

母と同居して面倒をみるという負担付で遺産分割により相続財産を取得するなどの内容で遺産分割協議が成立することがあり、その後母の面倒をみないという場合、どうすればいいでしょうか。

Q4. 債務不履行による遺産分割協議の解除はできるのでしょうか。

最判平成元年2月9日では
「共同相続人間において遺産分割協議が成立した場合に、相続人の一人が他の相続人に対して右協議において負担した債務を履行しないときであつても、他の相続人は民法541条によつて右遺産分割協議を解除することができないと解するのが相当である。けだし、遺産分割はその性質上協議の成立とともに終了し、その後は右協議において右債務を負担した相続人とその債権を取得した相続人間の債権債務関係が残るだけと解すべきであり、しかも、このように解さなければ民法909条本文により遡及効を有する遺産の再分割を余儀なくされ、法的安定性が著しく害されることになるからである。」

Q5. 遺産分割調停では、相続財産から生じる賃料も対象になりますか。

遺産分割の対象は遺産分割時に存在する以下の積極財産です。

  • ⑴ 対象となるもの
    不動産、不動産賃借権、預貯金、現金、株式、社債、知的財産権、
  • ⑵ 対象とならないもの(相続人間の合意があれば対象となる)
    金銭債権(損害賠償請求権等)、遺産から生じた果実及び収益(相続開始後の賃料、利息及び配当金等)、金銭債務[i]、葬儀費用、祭祀財産、遺産管理費用、使途不明金
  • ⑶ 具体的事案ごとに決まるもの
    死亡退職金

Q6. 死亡危急時遺言とはどういうものですか?

死亡危急時遺言とは、死期が迫り署名押印ができない遺言者が口頭で遺言の内容を証人に伝え、証人がそれを書面化する方式により作成する遺言のことをいいます(民法976条)。
自筆で文字が書けない、公正証書を作成する時間もないという場合にやむを得ず作成する場合がまれにありますが、通常時であれば公正証書遺言を作成することをおすすめしています。

Q7. 被相続人の死亡を知った日から3か月経過すると相続放棄できませんか。

民法第915条には「相続人は、自己のために相続の開始があつたことを知つた時から3箇月以内に」相続放棄をしなければならないと定められています。
しかし、最高裁は、「①相当な理由がある場合には、民法915条1項所定の期間は、②相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算する」としました(最高裁昭和59年4月27日判決(判例タイムズ528号81頁 ))。
ですので、すぐにあきらめのではなく、事情によっては家庭裁判所に相続放棄の申述を試みるべきです。

裁判例
高松高等裁判所平成20年3月5日決定(家庭裁判月報60巻10号91頁)

「Dは、被相続人死亡後間もない時期に本件農協○○支所を訪れて被相続人の本件農協に対する債務の存否を尋ね、同債務は存在しない旨の回答を得、そこで、抗告人らは本件農協における被相続人名義の普通貯金の解約や出資証券の払戻しの手続を執るなどしたものであるが、それは、抗告人らにおいて同債務が存在しないものと信じたことによるものであり、それゆえに、抗告人らは被相続人死亡時から3か月以内に限定承認又は放棄の申述受理の申立てをすることもなかったものと認められる。
こうした事情に照らせば、抗告人らは本来の熟慮期間内に被相続人の本件農協に対する債務の有無及び内容につき調査を尽くしたにもかかわらず、本件農協の誤った回答により同債務が存在しないと信じたものであって、後に本件農協からの通知により判明した被相続人の本件農協に対する保証債務の額が残元金7500万円余という巨額なものであることからすれば、上記のような抗告人らの被相続人の遺産の構成に関する錯誤は要素の錯誤に当たるというべきである。
そうすると、抗告人は、錯誤を理由として上記財産処分及び熟慮期間経過による法定単純承認の効果を否定して改めて相続放棄の申述受理の申立てをすることができるというべきであって、抗告人が平成19年9月×日ころに本件農協からの通知を受けて被相続人の債務の存在を知った時から起算して3か月の熟慮期間内にされた本件の相続放棄の申述受理の申立ては適法なものとしてこれを受理するのが相当である。」

刑事・少年事件

当事務所は、軽微な軽犯罪法事件や迷惑防止条例違反事件から、重大な殺人事件(裁判員裁判)まで、経験も豊富で様々な刑事事件に対応できます。
ご親族などが警察に逮捕されてしまった場合、ご本人からは連絡をいただくことができないので、ご親族の方など、お早めにご相談下さい。
交通事故(自動車運転過失致死傷)事件等で在宅のまま捜査されている、起訴されたという場合の弁護もお任せ下さい。

刑事事件Q&A

Q1. 逮捕されたら、どのくらい帰ってこないのでしょうか?

事件の大小、前科・前歴の有無、被害者の処罰感情等により様々です。
逮捕は72時間以内と法律で決められていますので、その間に釈放されるか、勾留(こうりゅう)という手続きに移行するかが決まります。
勾留されると、原則10日間、捜査にさらに時間が掛かる場合にはさらに最長10日間拘束が続きます。
その間に検察官(検事)により、起訴されるか、不起訴にされるか、処分保留で釈放されるかが決められます。
起訴されると、その後も勾留が続くことになります。

Q2. 勾留されたまま起訴されたら家には帰れないのでしょうか。

勾留されたまま検察官が起訴した場合には、勾留が続きます。
もっとも、起訴された後は、保釈(ほしゃく)の請求ができます。
事件内容や状況により、権利保釈といって保釈が認められやすい場合(それでも罪証隠滅の恐れあり等として不許可とされることもあります)と、裁量保釈といって権利保釈は認められないが、裁判所の裁量により保釈される場合があります。
保釈が認められても、保釈保証金を納める必要があります。
一般的には保釈保証金の額は150万円~300万円くらいが多いですが、事件の軽重、被害者の有無、示談が済んでいるか、身元引受人の存否及び被告人との関係、逃げる恐れがどの程度あるかなどを総合考慮して判断されます。
保釈保証金は、保釈条件を守り、裁判期日にきちんと出頭して裁判が終了すると還付を受けることができます。
被告人が保釈条件を守らなかったり、期日に出頭しない場合には没収されてしまいます。
保釈保証金が手元の資金では足りない場合、日本保釈支援協会などから借りることはできますが、被告人とは別の申込者がいて、その人にある程度の資力がある必要があります。

Q3. 被害届を取り下げてもらえれば処罰はされないのですか?

被害者がいる犯罪のうち、名誉棄損罪や器物損壊罪、過失傷害罪などの限られた犯罪は親告罪(しんこくざい)と呼ばれ、被害者の告訴がなければ処罰することができません。
それらの場合には被害者が告訴をしないか、告訴をしても起訴までに告訴取消しをすると加害者が処罰されることはなくなります。
それ以外の犯罪(たとえば暴行罪、傷害罪、殺人罪、窃盗罪、強盗罪等)の場合、被害者の被害届や告訴は処罰の要件とされていません。
被害者のいる犯罪の場合、被害弁償の有無や被害者の処罰感情(処罰を求める気持ち)が重視されますので、示談し、被害者の処罰感情が消滅した場合には、警察から送検しない、送検後も不起訴とされるなどして捜査終結とされることもあります。
被害取下願が出されると捜査終結とされることも多いですが、重大犯罪など社会的影響が大きい事件等の場合には、それでも処罰される可能性はあります。

Q4. 警察により逮捕・勾留されましたが、不起訴で釈放されました。仕事ができなくて収入が下がったのですが、補償してもらえないのですか?

被疑者として逮捕・勾留され、起訴されなかった場合に、「その者が罪を犯さなかったと認めるに足りる十分な理由がある」場合にには、補償を受けることができます(法務省訓令・被疑者補償規程2条)。
すなわち、不起訴の場合であっても、「嫌疑なし」(典型的には真犯人が別に発見された場合)や「罪とならず」などの場合でないと補償が受けられず、そのケースは多くはありません。
不起訴のうち「起訴猶予」(=犯罪があったことは認められるが、起訴はしない場合)や「嫌疑不十分」によるものは多いのですが、それらの場合には補償が受けられません。
補償額は1日1000円以上12500円以下とされています(同規程3条1項)。

Q5. 国選弁護人を依頼することはできるのですか?

国選弁護人というのは、被疑者・被告人が私選弁護人を依頼する資力がなかったり、依頼できる弁護士を知らない場合に、裁判所が選任する弁護人のことをいいます。裁判所が選任する場合には、弁護士会で取りまとめた担当日の担当弁護士が選任されることが多いです。
当事務所にご連絡いただいて、国選弁護人になって欲しいと言われましても、選任するのは裁判所ですので、ご要望にお応えすることは基本的にできません。

Q6. 国選弁護人をしてもらったのですが、その費用は支払う必要があるのですか?

国選弁護人の費用は、判決の際に「訴訟費用の負担」についても言い渡された場合、負担する必要があります。その額は数万円~裁判員裁判の場合には多いと100万円を超えることもありますが、被告人に資力がない場合には負担させないとされることも多いですので、強く心配するほどでもないと思います。
その費用は弁護士に直接支払う必要はありません(検察庁から請求されるようです)。

Q7. 当事務所の弁護士が刑事事件の私選弁護士となり一審判決を受けたのですが、納得のできない内容でした。控訴審も依頼したいのですが、できるのでしょうか?

当事務所では、依頼者にご納得いただける判決を得るべく活動しておりますが、様々な事情によりご納得のいく判決を受けられない場合もございます。
刑事事件においては、簡易裁判所の事件については地方裁判所に、地方裁判所の事件は高等裁判所に控訴(不服申立て)ができますので、控訴審についてもご依頼いただくことはできます。もっとも、一審での活動にも関わらずご納得のいかない結果しか得られなかったことから、別の弁護士にご依頼いただくのも一つの方法ですし、高等裁判所の場合には東京高等裁判所になりますので、出張旅費、日当がかかりますので、その点をお問い合わせいただき、ご納得の上ご依頼いただければと思います。
また、平成23年の統計による被告人控訴事件の破棄自判の割合は9.7%と多くありませんので、その点もあらかじめご理解いただきたいと思います。
なお、検察官控訴事件は、控訴すべき事案を絞っていることもあり、平成23年で71.6%破棄されていることに注意が必要です。
当事務所の弁護士が刑事事件の国選弁護人となり、一審判決を受けたのですが、納得のできない内容でした。控訴審も弁護人になって欲しいのですが、できるのでしょうか。
一審の国選弁護人の活動範囲は一審判決後控訴期間満了までとなっており、それ以降の控訴審の活動においては改めて国選弁護人の選任がなされることになります。
東京高裁への控訴の場合、通常は東京所在の弁護士が控訴審の国選弁護人に選任されることになりますので、控訴審の国選弁護人となることはできません。
事案が複雑、被告人の特性等特別な事情がある場合に、裁判所の判断により控訴審の弁護人も担当できることもあります。

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